お便り

大阪府:石切の家 取材時の声

大阪帝塚山の家のリビング07

「リゾート感のある家を建てたい」というのが施主からの第一希望だったという。建築家は施主とともに土地探しからスタートする。リゾートというと見晴らしのいい高台、海辺や緑に囲まれた立地を考える。しかし最終的に決まったのは、背後に生駒山の森、周囲は住宅やマンションが建て込む、大阪府東部の町中の土地だった。「モルディブの海のリゾートをイメージしていたのですが、いろいろな事情で180度、違うところに来てしまいました(笑)」と施主のYさん。

大阪帝塚山の家のテラス02

 藤原・室建築設計事務所の藤原慎太郎さんと室喜夫さんは「近隣は旧家も多く、将来、建て替えがあるだろうと考え、採光、風通し、プライバシーの確保など先を見越した設計を考えました。もちろん、リゾート感と密集環境をどう融合させていくか。中庭や平屋、大きな空間などのプランも提案しましたが、サンルームのような吹抜けのリビングを中央に据えることで決まりました」と語る。

大阪帝塚山の家のリビング02

 玄関から直接つながる吹抜けのメインリビングは、やわらかな光が満ちていた。トップライトからの太陽光、壁に落ちる影の美しさ、タイルの床。レンガによるスクエアな外観からは想像できない、明るく開放的なリゾートが具現化されていた。

 

リビングを中心にキッチン、ダイニング、存在感のあるタイル貼りの広いバスルーム、2階には寝室や子ども室が回遊するように配置されている。

大阪帝塚山の家のセカンドリビング03

「開閉式のトップライトでリビングに光と風を呼び込む。そこから放射状に、各室の外壁やリビングを臨む廊下に窓とガラスウォールをこまめに取る。窓が連続するとデザイン的に美しくないので、分散の仕方には工夫をしました」と藤原・室さん。
 Yさんの家づくりへのもうひとつの思いは、できる限り自然の素材、本物感のあるものを使いたいということだった。藤原・室さん曰く、「Yさんは非常に行動的です!」。自らショールームに出向いて商品を確かめ、インターネットでサンプルを取り寄せ、これを使ってほしいと藤原・室さんに提案する。施主も建築家もそれぞれ素材を吟味し、話し合い、統一した思いで家をつくるという関係性が育まれた。リビングの床素材に悩んでいたYさんに、藤原・室さんはコンフォルト2015年6月号「タイル、この愛しきもの」を手渡した。そこからのYさんの行動が早い。「すぐに数枚を取り寄せ、家族旅行も兼ねて愛知県瀬戸市の瀬戸本業窯を訪ねました。1枚1枚、手づくりで焼いているタイルのお話を聞き、その質感に魅了されリビングの床はこれだ! と思いました」。選んだのは〈多彩幾何文〉。異国風の図柄と和の味わい、手仕事による素材感は、リゾート感を増す役割を見事に果たしている。

大阪帝塚山の家の浴室02

「Yさんからはどんどんリクエストが来る。バスルームのガラスタイルもご自分で選び、手すりや引き戸のレール、キッチンやトイレの水栓などの金具も、とにかくシルバーは避けて、真鍮色にしたいと。でもそういう金具は圧倒的にシルバーなんです。もちろんYさんも探しますし、こちらもスタッフ共々、必死に探す。そのやりとりがとても楽しかったですね」と藤原・室さんは振り返る。

大阪帝塚山の家のサロン

 一方、夫人のA子さんは、家の一室でリンパエステサロンを開いている。以前の家では、お客さまが来るとリビングを大急ぎで片付けていたが、今回は玄関から直接、2階のサロンに行ける動線をリクエストした。1階のリビングで講習会なども開き、子育て世代のママたちが子どもをつれて集う。
「仕切られているようで、いないような空間。たっぷりの光と風が入る開放感に心が和みます。以前は家からの心地いい眺望がほしいと思っていましたが、ここに住んで意識しなくなりました。朝、洗濯をしながら窓から隣家の瓦屋根や緑が目に入る。それだけで十分、私にとっては愛おしい景色です」。「家庭内リゾートで完結しているような感じだよね」と智樹さんが答える。夫妻ともにインテリアへの造詣が深く、こだわりも強い。家具類や照明器具も二人が選んだものが、空間に調和し、非日常の雰囲気をつくる。

大阪帝塚山の家のキッチンダイニング

 さあ、もうすぐ小学校と保育園からやんちゃ盛りの2人の息子が帰ってくる。今日は出張がちのパパもいて、近所に住む親戚も来て、お鍋だ! ゆったりとした空間に賑やかな会話が飛び交い、ドタバタも混じって。石切の家に満ちる光は、夕景へと色彩を変えていく。

 

大阪府:南河内の家 取材時の声

大阪南河内の家のリビング02

のどかな池を眺めウッドデッキの庭で過ごす田舎に暮らしたいという一家が見つけたのは、池に隣接する敷地だった。敷地の南と庭側には住宅があるが、東と北側には市が所有する大きな池、その向こうには林が広がる。住み手はこの風景と共に暮らし、バンド仲間と演奏をしたり、バーベキューを楽しむ住まいを希望した。

大阪南河内の家の外観03


大阪南河内の家のリビング03

 建築家の藤原・室 建築設計事務所さんは、もっとも眺望のいい西に向かって開く平屋を提案。池に面したリビングと、そこから連続するウッドデッキのテラスを配した。リビングからはテラスを介してのどかな風景だけを切り取る。テラスでは裸足で過ごし、家族との食事や友人たちとバーベキューを満喫する。テラスがこの家のもっとも気持ちのいい「過ごす庭」だ。

大阪南河内の家のリビング04

大阪南河内の家の玄関

 家の中央にはいろいろな使い方ができるフリースペースを設け、ダイニングとその北側に薪ストーブを設
置。そこは寒い季節に炎を囲む、もうひとつのリビングとなった。フリースペースは建物の中央を通路のように貫くため、南北に風が抜ける。その両側にリビング、キッチン、個室、音楽スタジオなどを振り分け、中央部分の天井には8カ所に天窓を設けた。暗くなりがちな冬でも自然光が降り注ぎ、室内はいつも明るい。天窓はリモコンで開閉ができ、暑い夏でも通風を確保している。

大阪南河内の家のキッチン

 休日には友人たちが集まりスタジオで演奏をした後、池を独占するテラスやリビング、フリースペースで食事やお酒や薪ストーブを楽しむ。旅行好きだった家族も今は旅に行かなくなった。この家が「リゾートそのものになった」と、自然に囲まれた生活を仲間と共に満喫している。

大阪 オフショット

ハンモックでくつろぐ猫

大阪府:此花の平屋 取材時の声

大阪ガスの住まうという雑誌に此花の平屋が取材されました。

大阪市内で平屋を建てるという選択

 古くから住宅地として開けた大阪市此花区の一画に、2019年5月、Tさまのご自宅である『此花の平屋』が竣工しました。設計した藤原・室 建築設計事務所の室喜夫さんも「市内では最近、2階か3階建てがほとんどなので、平屋を選ばれるのは珍しいですね」といいます。しかもこのT邸は約75坪ある敷地のうち、延床面積を3分の1の25坪に抑えたユニークなつくりになっています。そこには理想の住まいとお子さまたちが独立した後の暮らしまでを見据えた、Tさまご夫婦の家づくりの考え方が反映されています。
 以前はマンションにお住まいだったTさまは、家探しの手始めに、さまざまなメーカーの建売住宅を見学されました。しかし「どれもいい家なのに、イマイチ決め手に欠けました。一部だけを手直ししたいと思っても、パッケージごと変更する選択肢しかありませんでしたし…」と、ピンと来ない状態が続いていました。そこで仕事先の社長から紹介してもらったのが、藤原・室 建築設計事務所です。最初は設計から依頼するという初めての経験にとまどいもありましたが、藤原さんと室さんの話を聞いているうちに、気持ちはほぼ即決状態に。それまで感じていた家づくりへの疑問も消え、自分が建てたい家のイメージを伝えて一から新居を建てることになりました。
 設計はたまたま建設地の近くにお住まいだった室さんがメインとなって担当されました。「平屋を建てたい」というTさまの思いは、常々平屋は空間の自由度が高いと考えていた室さんにとってはウェルカムなご要望でしたが、Tさまにとっては初めて建てる家になるので、提案時には平屋だけではなく二階建ての案も見せて、比較検討してもらいました。施主の要望とは別の選択肢まで用意するこの提案方法は、「施主さまに納得してもらい、これから建てる家のイメージを固めていくために、我々藤原・室 建築設計事務所ではよく採用している方法です」という室さん。またTさまは敷地の一部を、将来駐車場として貸し出せるようにしたいと考えておられたので、建物の前に車3台分のスペースを確保しました。こうして大阪市内では珍しい、建物の前面に広い敷地を残した平屋の家が誕生することになりました。


「塀」で隔てるのか、「壁」で仕切るのか

 T邸を印象づけているのが、敷地内で大きな弧を描くふたつのコンクリート塀です。この円は、建物の外では前面道路からの視線をさえぎる塀の役割を担っていますが、円弧の先が建物の中にも延び、室内のスペースを仕切る壁にもなっています。駐車場を囲む円は前面の道路に向けて外に開いていますが、逆にもうひとつの円は建物を覆うようにして、外に向かって丸いふくらみを見せています。
 円を二つ組み合わせる案は、駐車スペースの要望を受けた室さんが、事務所内でスタッフ達と相談して出てきたアイデアです。もともと街並みにも魅力的に映えるような塀にして、街と住まいとの境界を柔らかい線で区切りたいという設計の思いと、日頃から『日々の景色が変わるような面白い空間づくり、楽しげな建築』をテーマに掲げる藤原・室 建築設計事務所ならではのユニークな発想が、今回カタチになりました。
 提案された図面を見たご夫婦は、そろってデザイン性の高さに大満足。このようにして、二つの円で建物の内と外を仕切り、敷地の奥に平屋を建てることでT邸の設計が進んでいきました。
 室さんが「丸いコンクリート壁は見た目にとてもシンプルですが、この形をきれいに取り込むのがいちばん難しかったです」という通り、ゆるやかなRをそのまま屋内に生かすため、設計では何度も検証を繰り返しました。例えば、二つの円が最も近づいている場所では80 ㎝の幅をとりましたが、確認のため、型枠を建ててTさまにその隔を体感してもらいました。玄関への誘導路の角度や、室内でLDKと廊下を隔てる壁の位置なども、庭先の円の角度と連動させて細かく調整しました。
 外に開いた駐車スペースに対し、内に開いたサークルの内部はテラスになっています。テラスと室内との間は全面ガラス張りの大開口部になっているので、リビングにいながらテラスの広がりを感じ、屋外にいるような開放感を楽しむことができます。テラスは普段、お子さまの遊び場や洗濯の物干し場として使われていますが、コロナ禍でテレワークになった時期には、Tさまが本をもちだして気分転換をはかる憩いの場にもなりました。
 コンクリート打ち放しの壁には、ライトがセットされています。「昼間もいいですが、仕事から帰ってきたときの、ライトアップされた夜の雰囲気はまた格別です」と笑顔で話すTさま。「友だちからは、〝プチ美術館みたい〞といわれます」という奥さまも、「入居して一年以上経ちますが、今でもこの塀のフォルムが気に入っています。まさに我が家のシンボルウォールです」と、心地よくデザインされた空間で暮らす楽しさを実感されています

大阪此花の平屋4自由度の高い平屋の利点を生かして

 「子どもたちが出ていった後は夫婦二人で暮らすことになるので、最初から大きな家にしようとは考えませんでした。今くらいのサイズがちょうど身の丈に合っている感じがします」というTさま。室さんも「コンセプトがしっかりしていたので、部屋割りなどは比較的早く決まりました」といいます。たくさんの狭小住宅を手掛けてきたノウハウや、部屋割りなどの設計がしやすい平屋のメリットを生かして、室内は家族が集うLDKを中心にしたレイアウトになりました。
 アイランド式キッチンを望まれた奥さまには、ダイニングテーブルと一体化したキッチンを作り付け、前後に通り抜けできるスペースを設けました。料理中に必要な品物がすぐに取り出せるよう、収納棚はキッチン周りに効率よく配置されています。
 Tさまが望まれた縁側は、テラスがある室外には作りにくいため、室内の広縁として実現しました。リビング幅いっぱいの長さがある広縁は、ちょうど腰掛けやすい高さで、家族の憩いや友だちなどとの会食にも大活躍。新居移転を機に飼うようになった猫たちも、この上で歩いたり丸まったりしています。「家にいるときはほとんどこのリビング空間にいますね。ペットもいるので、子どもたちも自然とここに集まってきます」というTさま。家の中心にあるLDKは、どの部屋に行くにも必ず通るようレイアウトされているので、この空間で過ごすのが、Tさまご家族にとって一番自然なことなのかもしれません。
 テラスとの境に設けた大型のガラス窓も、LDKの開放感を演出しています。視界を遮るものが何もないので、室内からテラスで遊ぶお子さまを見守ることができます。ガラスは固定式ですが、1枚だけ引戸にして出入りができるようになっています。
 室内は寝室や子ども部屋などの個室も含め、すべて白い壁と無垢の木材で統一されています。部屋の配置にも平屋ならではの導線の良さを感じますが、各部屋へと続く木の温もりも、横につながる平屋のイメージとよく合っています。暮らしやすさとデザインにこだわったご夫婦の思いが、この『此花の平屋』に結実したようです。

徳島県:板野の家

徳島:板野の家の10年ほど経過した様子です。

言葉では難しいので写真で頂きました。

小さな植栽を植えたいという希望から、建物下方に沢山窓をつくった住まいでした。

それが想定通り小さな植栽を沢山植えてもらった写真をいただきました。

建物内は、収納が浮いています。

そこは、ワンちゃん用のゲージやスペースという予定でしたが、ワンちゃんもちょうど景色を楽しんでいるようです。

外壁も綺麗で、良い雰囲気ですね。