コミュニケーションのデザイン 重ね合わせの建築
実務の建築の面白さは、いろいろな意見や見解に対してどのようにアイデアを出し、プロジェクトとして進めていくかというところにある。
完成したものを見ると、すごく纏まって、よく見える建物が多いかもしれないが、どの建物も沢山の調整を重ねて完成したものばかり。
そこには建築学的には矛盾もあれば、合理的でない解決がされていたり、不思議な様相なものもある。
リアルな打合せでの席では、当たり前のことだが、沢山の希望が出てくる。
A案もB案も同時に叶えれないか?
建築やデザインを考えるとこちらだが、機能性を考えるとあちらになるがどうするか?
また、複数の人が住むので、全く好みが違っていたりするとどのようにデザインを統一できるのか?
その他、同時に叶えられないような難題は沢山出てくる。
土地の制約や特徴があり、設計としての意図もあり、好みの違う複数人で建築主が住むということは、いろいろなことを同時に受け入れる空間でなければならないことが多い。
こういったことは、建築の実務におけるデザイン検討の面白いところだとおもう。
すべてを串刺できるデザインを考えることができればもちろん良いのだが、そんな都合良い状況であることはなかなかない。
建築的に相対するものが同時に存在する面白さを考えてみる。
同時にいろいろな意図が重ね合わされていて、想像を膨らませられることもある。
重ね合わされ変化する景色が、無限の奥行き感を生み出す。