日々のこと

コミュニケーションのデザイン 敷地

コミュニケーションと建築というと、建築主の方と私達が会話を重ねていって完成する建物のことを指しているというふうに思われるかもしれない。

今考えているコミュニケーションと建築は、もっと広いイメージをするようになってきている。

建築主の方がすごく特殊な要望があり、それ故に他にはない建物ができているかというとそればかりではない。

一般的な希望や内容であっても、敷地との応答によって、建築は大きく変わってくる。

敷地外に対して対話的になったり、寡黙になったり、存在感を少なくしたり、対比的だったりと、建築物でしか出来ないコミュニケーションのようなものがある。

敷地内部でも、敷地の微妙な段差へどう建築側で応答するかで、プランのアイデアが変化していく。

建築内部では方位によって、太陽の動きが違ってくるので、光の入り方が大きく変化していく。

光が入ってくる窓も、プライバシーといった外部環境との関わりをどう応答するかによって、採光位置の取り方が変わる。

傾斜地や変形地、狭小地、旗竿敷地といった特徴のある敷地をはじめ、

郊外の画一的に見える土地も、微細な状況を観察することで、敷地の独自の特徴が見えてくるようになり、建築の可能性が年々広がってきている。

コミュニケーションのデザイン 好み

好み

建築主の方皆が、趣味があるかというと、そういったことは無い。
特徴のある希望や趣味が無くても、デザインの方向性を左右するものとして、好みというものがある。
この好みは結構デザインを考える上で重要であったりする。
例えば、白い壁が好きか、グレーの壁か好きか、黒い壁が好きかといったシンプルな好みの違いで、空間のデザインが随分と変わる。
同じ空間でも、壁の色が違うと、光の反射具合が全く違うので、最終的に達成したい明るさが同じだとすると、窓や開口部の取り方がぜんぜん違うことになる。
そういった要素は、空間には沢山あるので、挙げればきりがないくらいだ。
好みを聞いたり感じたものを提案し、リアクションとフィードバックをもらう、ということをし続ける。
建築主にとっても依頼する前に想像していたものが、そういったプロセスを経ることで新たな発見がある。
その建築は特徴がありながらも、使う人に取って自然な居心地良さになっていく。